【人事部インタビュー】芸能人材の可能性と採用する理由とは
【人事部】某ラグジュアリートップブランド リテールHR マネージャーF様
【インタビュアー】白川裕子
芸能の世界で活躍するために誰もが当たり前に取り組んでいる「結果に対するコミットメントや努力、成長意欲」
その姿勢は、周りにも良い影響を与え、より一層チームの中でポジティブなエネルギーが生まれていうという。
しかし、芸能人材のセカンドキャリアは、誰に伴走してもらうか、誰に相談するで人生が変わる可能性がある。と語る、某ラグジュアリートップブランド リテールHR マネージャーF様に、芸能人材やスポーツ選手が企業で活躍する未来についてお話を伺いました。
白川:弊社は、芸能人材のセカンドキャリア支援として、企業との単発のお仕事だけでなく、転職のお手伝いも行っています。なぜ弊社に興味を持っていただけたのでしょうか。
F様:まずはやはり我々のラグジュアリーブランドというのは、結果に対しての行動力や向上心、自分自身を高めるためのアクションというものを、すごく社員が求められてるというところがあります。そんなときに、我々が昨年、ポテンシャル採用といって、業界のラグジュアリーブランドで働いている方以外にも目を広げて、門戸を広げて採用していくことで、より組織が多様な、そして強い組織になるのではないかという思いのもと、社会的にも、課題のあるセカンドキャリアというのも一つ考えていきましょう。というようなアイディアが出たときに、先ほど申し上げたような、結果に対するコミットメントや努力、そういった向上心をお持ちであろう方というのを、まず考えたときに、アスリートの方であったりとか、あるいはエンターテイメント業界で、同じように、プロフェッショナルとして働かれてる方たちにフォーカスをしていこうというような考えがあって、お声がけさせていただきました。
白川:ありがとうございます。広い芸能という仕事の中で、宝塚OGには、どういうところからたどり着いたのでしょうか?
F様:やはり、小さいときから努力をして夢を掴んで、ものすごい競争社会を生き抜いてきている方々であるし、あとは表舞台のステージに立っていた方たちなので、我々も店頭のことをオンステージって呼んでるんですね。なのでそういったところでも、やはり親和性がある業界なのではないかいう形で、候補に挙がったのではないかと思います。
白川:弊社がご紹介した転職者は、御社のニーズに適合してますか。
F様:もうパーフェクトに適合をしてると思います。やはり誰かのためになりたいとか、誰かの役に立ちたいということをすごく大切にされている。それは業界問わず、我々が新卒採用のときでも、やはり経験のない方たちを採用していくときに、すごく大切にしていることで、我々、顧客ビジネスで顧客志向というところが非常に大事なことなので、自分じゃない誰かのニーズだったり、誰かのために、どれだけ一生懸命になれるか。というのは非常に重要な要素だと思っていて、誰でもできるわけじゃないと思うんですよね。それを彼女はすごく持っているというのは、私も彼女と話す中ですごく感じることができましたし、彼女の口からもやはりそれが何度も出てくるので、お客様のために努力できる方であるからこそ、早い段階でお客様からあなたから買いたいよって言ってもらえるような方になったんだろうなと思います。そういった我々と共通する価値観をお持ちであることと、そこに対してまっすぐに努力をしていけるTさんは、まさに我々が求めている人材だと思いました。
白川:採用面接の印象や、何を評価して、期待して採用されたのかお聞きしてもよろしいですか。
F様:最終的に合否を決めていただいたのは店長とかですけども、彼女からのフィードバックが残ってるので、そのままちょっとお話しますね。まず評価としてはとても高い評価でしたと、宝塚での彼女の経験というものは非常にストイックで、鍛錬を続けて精神を磨いてきたことが、今の向上心や対応力に繋がっているとお見受けします。また仲間とともにパフォーマンスをすることや、お客様へのホスピタリティ、そして夢を提供するというお気持ち、弊社とも共通点があって、ライバルは自分自身というマインドも成長し続けられる大事な心持ちだと思われます。小売りに関しては、初挑戦にはなりますけども、今までの経験は必ず生かせると判断して、ぜひお迎えしたいというような形でコメントをいただいてます。
白川:ありがとうございます。それから、Tさんだけでなく、ポテンシャル採用で入ってきた方々が店舗にいることで、何か変わったこと、影響はありましたか?
F様:そうですね。お店からフィードバックとしていただいてるのは、やはり彼らの、Tさん含めて、まっすぐな姿勢みたいな、やはり難しいこともたくさん最初はあるんだけれども、成長意欲であったりとか、成長に対する姿勢というところは、非常に周りの方にも良い影響を与えていて、自分たちも気持ちを忘れずに、成長意欲をかきたてられて、より一層チームの中でポジティブなエネルギーが生まれているということは、その店長も皆さんおっしゃることですね。
白川:芸能人材の可能性はどう考えられていますか。
F様:やはり芸能関係の方というのは、年齢が上がるからキャリアアップしていく世界でもないと思いますし、年齢が若いからお仕事がないということでもないでしょうし、キャリアとしては不安定なところだとは思うんです。ただ一方で、皆さん、対人スキルですとか自分をどう見せるかですとか、そういった能力、そして当然今後、高い目標に対して努力する力であったり、競争心、そういった力がすごく強いので、そういった方が、もし次の自分のセカンドキャリア人生として、弊社だったりとか、こういったラグジュアリー業界を選んでいただくことで、これまで培ってきたことがそのまま生かせるような舞台かなと思っています。我々のやってることも先ほどの繰り返しになりますが、やはりお客様のニーズに寄り添う、いろんなお客様がいらっしゃるので、相手の方が何を求めていて、自分はそこに対してどうアプローチすべきかということって、おそらくこの芸能関係の方って、同じようにやられてきてると思うんですよね。また自分のそこに対する見せ方ということも非常に長けていらっしゃる方たちだと思うので、非常にフィット感があって、このリテール業界、ラグジュアリー業界には、彼ら彼女たちがキャリアアップしていくチャンスというところも、とても明るい業界なのかなと思います。まだまだ絶対数は少ないですけども、これまでご入社いただいた方たちが、例えばパフォーマンスでスペシャリストになっていく、あるいはマネジメントになっていったりという未来は遠くないかなと感じています。それは彼らのマインドセットだったり、なるほどコンピテンシーで実際の力っていうところがとても高いというふうに感じているので、あとは業界のフィットとか知らないことを学ぶとか、そういったところだけかなって思っているので、非常に将来性のあるセカンドキャリアとして、また一つ大きな成功をつかみ取れるチャンスがあるんじゃないかと感じますね。
白川:今、芸能人材のセカンドキャリアの課題と感じているのが、芸能関係の仕事は履歴書に書けないじゃないですか。人材紹介会社に登録した時点で、ふるいにかけられてしまう現実があります。
F様:人材紹介っていろんな方がやられてると思うんですけど、やはり誰に伴走してもらうかというか、誰に相談するで全然違うと思うんですよ。中には本当にただただ数だけこなす、人材紹介会社さんもいますし、候補者1人1人に寄り添うというよりは、ぱっと聞いて、そのまま履歴書を会社側に送ってみたいなことしかしてない方もいらっしゃいますけど、誰に話を聞いてもらえるかで結構人の人生が変わると思うんですよ。そういう意味では、その方がどんな特徴を持ってる人なのかというのは、人材紹介会社の人がどういう人なのかってすごく大事だと思っています。そこで言うと、白川さんは、もう完全にキャラが立ってるじゃないですか。だから宝塚の方だけじゃなくて、やはり芸能関係の方であれば、ただのエージェントさんに依頼するより、自分の気持ちをよりわかってくれそうな、白川さんに相談したいってなるのが普通だと思いますし、そういう意味では多分芸能関係とかで、ご自身が全く繋がっていないところでも、絶対繋がれると思うんですよね。だからこそ広くネットワークしていくっていうのはすごく大事だと思いますし、もう実は弊社に紹介しているとか、そういう成功がちゃんと例としてあると、より安心感も相手に与えるかなと思うので、本当に社会貢献にもなりますよね。
白川:宝塚OGは、これまでも企業で活躍されてる方って少なくないんです。でもそういう情報って全然出てこなくて。宝塚やめて芸能に行く方はSNSで発信しますけど、普通に働かれてる方って、仕事のこととか発信しないので、表に出てこないんですよね。でも、これからは発信していった方がいいよなと思っています。すごくもったいないなと。OGのセカンドキャリアで、芸能以外で活躍をしてる人がいるっていうのは、やっぱり出した方がいい。出ていってほしいなって思います。
F様:私もこのセカンドキャリアというのが話に上がった時にすごく共感して、自分の考えとしても、何かその一生懸命自分の時間を捧げて頑張った人が損しちゃ駄目だよなと思って。それで楽しませていただいてるみんながいるのに、それは宝塚だけじゃなくてプロ野球だったりプロサッカーもそうですけど、何かそういった方々が損をしてるわけではないと思うんですけど、安心してそこに打ち込める社会になっていくと、エンタメももっと盛り上がるし、プロスポーツももっと盛り上がるしっていうことに繋がるんじゃないかと思っていて。これがどんどん広がっていくことで、何か学生時代に捧げても、それを頑張ったことが、こういう繋がりになるというロールモデルがたくさんいれば、親御さんもそれこそね、安心されるでしょうし、本人も迷いなく努力できるというか。スポーツ選手とかも大学生とかになってくると、このままでいいのかなって思い始めるという方もやはり多くいらっしゃって、もったいないなって思いますよね。せっかく才能があって努力すれば何者かになれるかもしれないんだけど、将来のことがね、もちろん不安で、それを諦めてしまうっていうのは、何かもう、大げさに言うと国家にとって損失なんじゃないか、このエンタメとしてもプロスポーツとしても。そういう意味では、これが社会としてきちんと成り立っていくと、より楽しい世の中になるんじゃないかなと思うんですよね。基本日本ってね、失敗したら終わりみたいな、そういう風潮あるじゃないすか。じゃなくてこのセカンドキャリアを逆に羨ましがられるような、そんな世の中になるとすごい楽しいのかなと思って、なんかその第一人者になれると思うので。
白川:頑張ります笑
F様:応援って言ったらあれですけど、一緒にね、頑張っていただきたいなと個人的にはすごく思っています。是非、色々一緒にお取り組みできたらいいなと思うので、よろしくお願いします。